作品とマットの親密な関係
額縁用品の名前をお客さんが知っている事は少ない。
だから当然注文を受ける際に『アレ』という言葉が多く使われることになる。
この『アレ』は非常に便利なワイルドカードで、ありとあらゆる名前を内包している。
慣れていれば何となく指している物が分かるけど、初めはお客さんと妙な問答をしていた。
そんな『アレ』が一位指名しているのが、あれ・・・マット。
という事でマットのお話し。
とりあえず額縁でマットと聞いて意味分かる人は置いといて、多くの人が何のことか分からないと思う。
マットというのは額のガラスやアクリルと作品の間に挟まっている紙の事。
主にデッサン縁の中に入っている。
何で入っているかというと、作品と額のサイズのつじつまあわせではなく作品の保護が第一の目的。
額装というのは物を飾るためというのはあるけど実はもう一つの目的が作品の劣化を防ぐというのがある。
作品は例え飾るためとはいっても表に出していると空気とかカビとか壁から出てくる化学物質とか色々な要因で劣化する。
これは美術館でも例外じゃなくて、飾っている限りは劣化する。でも展示しない訳にはいかないから出来るだけ劣化を防ぐ方法をとっている。
額もマットもその方法群の中の手ごろなもの。
だからマットにも当然その力がある。
さっき紙と書いたけどマット用紙はちょっと特殊な紙で、phが7から7.5。
つまり中性紙。
作品の酸化を抑えてくれる。
これは最近では当たり前の事なんだけど、実は保存額装という考え方が日本に浸透したのが最近のことで、ちょっと前の額装品なんかを調べてみると、思いっきり酸性の紙をマットとして使っていたりして結構油断できない。
大切な額装品を持っている人は、一度調べてみたほうがいいかも。
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