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2006年3月

2006年3月27日 (月)

シンプルな豪華

以前にも少し書いたこともあるけど、日本国内にある額縁は大きく分けて”デッサン縁”と”油縁”の2種類になる。
基本的には水彩画などの厚みがない作品にはデッサン縁。
木枠に張ったキャンバスに絵の具を盛るという手法上、どうしても厚みが出る油彩画には油縁をお薦めすることにはなる。

ただ、作品の内容によっては逆に入れたほうが良い場合もあるし、それで作品の魅力がまた違った形で現れる事もあったりして額装は侮れないと思う今日この頃。

今回はちょっと変わった油縁

P3250024


メトロ80SC オロパープル
写真を見てもらえば分かると思いますが、シンプルで幅広。
一般的な油縁には額の内側にもう一回り、ガラスやアクリルと作品面がくっつかないようにする”オイルライナー”という額の簡易版みたいなパーツが入っている事が多いけど、この額には入っていない。
その代わりに写真にある額の内側にある銀色の縁取りがそうなんだけど、”入れ子面金”という素材を使って作品がアクリルにくっつかないようになっている。

PB270083

色はオロパープルという擦れた紫色で、実際の見た目はこの上の写真が一番近い。

作例の大きさはサムホールサイズ(227mm×158mm)。これは油絵の規格サイズで通常は”SM”とか”FSM”とか表記されている。
中に入っているのは油絵・・・ではなくこれまた額。3月21日のエントリーで紹介したC-44088の額にトンボ球をギュウギュウに押し込んであるものを額装してある。

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ご覧の通り、何の細工も無しにスッポリ収まるくらい奥行きがある。

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メトロ80SCは幅が80mmと広めだけど、それほどうるさい額ではない。
見た目の印象と反して、それほど中に入るものを好き嫌いする額ではないので、どんなタイプの絵画を入れても大丈夫。個人的には抽象画を入れるのが面白いと思う。

この額は他に幅が60mmのものもあるし、実はデッサン縁もでていたりする。
色はこのオロパープルのほかにホワイト・ブラック・ターニッシュゴールド・ターニッシュシルバー・オログリーン・オロレッドの7色。

値段はサムホールで7270円。F15までのサイズがある。

和とも洋ともとれるシンプルで静かなゴージャス感があり、部屋のインテリアの主役に、というよりも小さいサイズのものをひっそりと飾るのがちょっとおしゃれかなと個人的には思います。



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余談
久しぶりに本を読んだ。
読後、正直感動したし、いろいろ考えさせられた。
”オシムの言葉”という本。
サッカーを知らない人は「オシムって誰?」ということになるけど、世界的にはものすごい有名人。
サッカーのJリーグが1993年に始まって以来、過去にも”何でこんなすごい人が、わざわざサッカーの世界地図のなかでは辺境に当たる日本にいるの?”ということが結構あった。
今の日本代表監督のジーコもそうだし、ドゥンガ、レオナルド、マッサーロ、ベンゲル、リトバルスキー、ストイコビッチなどなど。ほかにも多くの世界的なスタープレイヤーや監督が何故か日本のJリーグに参加していた。
そして今現在の最大の謎がこの人「イビチャ・オシム」。
J1部リーグのジェフ・ユナイッテド千葉の現監督。
何が謎かというと、会見のときに記者達をユーモアの煙に巻く言動もさることながら、実はこの人、旧ユーゴスラビア最後の代表監督で、それ以外にもヨーロッパサッカー界で数々の実績を持っている一目置かれている存在。
いわば名将中の名将。
世界中のビッククラブといわれる有力チームがこの監督にアプローチをしていたというのだから、何でこんなすごい人がJリーグにいるのと当然思っていた。
だからこの本の存在を聞いて読んでみようと思った。

内容はオシム監督の半生。
サッカー選手としての生い立ちから監督への転身、代表監督就任。そんな最中勃発したユーゴスラビア内紛、奥さんとお子さんをサラエボに残した状況で始まってしまったサラエボ包囲戦。内部との連絡がまったくつかない状況で何とかしようとオシム監督はヨーロッパに強力なコネクションを持つオーナーがいるクラブからのオファーを受ける。
絶望的な状況の中、何を考え行動していたか。
読み終わったあと、ただ理知的なユニークに聞こえていた会見中のオシムの言葉が今までと違った重さを持って聞こえてきました。
サッカーを知らない方でも一読する事をお薦めできる本です。

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2006年3月25日 (土)

洋風なナチュラル

気象庁の開花宣言を受けて通勤途中にある桜もだいぶ花をつけてきていた。
ここ何年かは仕事のこともあってお花見には行けないでいるけど、以前は年の恒例で楽しみにしていた。
お花見といえば”花を愛でる派”と”団子を食べる派”の論争の場だけど、何といっても自分は”樹に登る派”。
舞散る花びらの下で、皆とわいわいやっていると、なんか樹に登りたくなってきて”お前は幾つだ”とか”先祖返りしてるな”とか言われながら枝に座っていたりしていた。
その後からなんか記憶がなくなったりして。
そんな馬鹿な思い出を思い浮かべていたら、ふと連想したフレーム。

今回は気に入っていただける方は繰り返しご利用いただいてるけど、お好みじゃない方は避けられるというこのフレーム。

レグノ30 グリーン
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ご覧の通り結構印象が強い。
レグノ30はカラーバリエーションが4種類。
写真にあるグリーンのほかに木地・パープル・ブラウンがある。
虫食いのテクスチャーは全色共通。
で、桜からなぜか連想したこのグリーン、そのなかでも一番樹皮っぽい。
ただ、記憶の中の桜と繋がった印象と違って、写真に撮りながら改めて見てみると何となく紫陽花を思い浮かべたりしている。

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作例はインチサイズのレグノ30にポスターのカタログから切り抜いたボタニカルアートを額装したもの。
絵の印象とフレームの印象がよく似ていたのであわせてみたところ、少し絵のほうが負けしてしまっていたので、中に使われている色から4色を持ってきてベベルアクセントを作り、交互に組み合わせて絵の周りを強調してみた。

P3230011

このフレームは見た目の印象の強さの割には、風景画や静物画などには基本的に合う柔軟さがあるようで、この絵には合わないだろうと思いながらも試してみると意外な効果がでて驚くことがある。
だからうちでは絵に合うフレームを探している時、合う合わないはともかく一度は試してみている。

P3230012

このフレームは少々飾る場所を選ぶ傾向がある。
展示会に使われればかなり目立つ事は間違いないけど、ご家庭に飾られる場合、設置場所周りのインテリアとの合わせ方をいろいろ試していただきたいと思う。

値段はインチサイズ(254mm×203mm)で、3360円。

中の作品に中世ヨーロッパ的な洋風なナチュラルさを与えてくれます。



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2006年3月21日 (火)

ジャポニズムの香り・・・か?

通常、額縁屋で購入できる額は3種類。

  • メーカーの工場で生産され、規格サイズの大きさで組まれ出荷される「レディメイドフレーム(規格縁)」
  • メーカーの工場で生産された棹を、お客さんの要望通りのサイズで組み上げる「カスタムメイドフレーム」
  • 職人さんの工房で、額そのもの全てを作り上げる「オーダーフレーム」

前回紹介したインレイ20はこの中の一番目に当たる。
とはいっても、「規格縁」だからといって、それ以外のサイズに出来ないわけではないし、職人さんがオリジナルで作った「規格縁」というのもあるからここら辺の区分けは少々微妙ではあるけど。

今回紹介するのは2番目の「カスタムフレーム」カテゴリーの額。

c-44088_2 c-44088_5
C-44088 金

これもイタリア製の金縁。
金縁の種類の多くがどんなものにも取り敢えず合うというオールマイティさを持っているし、この額も例に漏れずそういう傾向があるから、取り敢えずお手持ちの作品を入れてみるでもおそらく失敗はない。

ただ、この額はそれだけじゃない。

 

写真から伝わるかどうか、45mmという太さのわりには控えめで、妙に侘び寂び感を感じちゃったりする。
金縁といっても金色がそんなにきついわけではなく、少し擦れたような色彩になっていて、個人的には古くなった金屏風やふすまを連想した。
この額は色違いでベージュと黒の二色があるけれど、こちらの方はどう見ても純然たる洋額の佇まいだから、シリーズの中でこの金色だけが異彩を放っている。

だからか、和のテイストのものに良く合う。

c-44088_1

この額装品は今年2月の展示会にサンプルとして出したもので、中身はまたまた切りえ。
額の大きさは400mm×200mm。
ちなみに額の大きさというのは、この場合は水彩画などを入れるデッサン縁という種類だけど、額の外側ではなく中に入れることが出来るサイズを指す。

c-44088_3

マットはうすいものと濃いものの2つの灰色マットで途中から色を切り替えるというテクニックを使い着物のようなイメージを意識した。

作品はマットの真ん中ではなく少し下に落としてある。
マットと作品との間にはベベルアクセントという奥行きをつける素材を使用してあり作品の見え幅を調節。
マット上部に破布の筋を入れてある。
基本的にはモノトーンな色調の外側に、幅の広い金縁が周っているにもかかわらず、うるささがないと感じていただけると思う。

今回の作例では、額装技術の展示会用ということで掛軸のような仕立てをイメージしたこともあって、窓の中の密度が多少高くなっているけど、以前何度かこの額を使った感じだと日本画特有の”空いた空間”との相性が良い感じがする。
ヨーロッパで作られた額にこれだけ日本人の感性とフィットするものがあるなんて、19世紀のジャポニズムの影響が今日に至って侘び寂びの理解に足をかける所まで来たのかと胡散臭い事を思ったりした。

で、お値段なんだけど、既に工場で規定のサイズに組まれている「規格縁」に比べ「カスタムフレーム」はお客さんの要望のサイズに合わせて一点づつ手作業で作るという性質上、少々割高になってしまいます。
ごめんなさい。

そういうわけで、インチサイズ(254mm×203mm)で9870円。

この額は作品にささやかな風情を与えてくれる希少な額です。



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2006年3月20日 (月)

自己主張をする名脇役

だいぶ更新をサボってしまった。

気がついたらもうすぐ新年度を迎えようという時期。

いろいろ考えて、今回からは真面目に定期更新していくぞと決意した。
で、壁にぶちあたった。

・・・そんな頻繁に書くネタがあるのか?いや、あるんだろうけど、筆下手だし・・・
アクセスカウントそんなに伸びてないし・・・
などとくだらない悩み。

でもある時気がついた。

昨年、今年と今のところ2回やった展示会の時に繰り返し感じた事。

額縁屋って一般に全然知られてない。
当然どんな額縁があるのか、皆さん知らない。

紹介しちゃおう!額縁。

うちで扱っているのに限ってさえものすごい種類がある。
一日一個紹介したとしても一年で365個。
全然余裕余裕。

というわけで、オーディエンスそっちのけの独断企画一回目。

最近使ってみて雰囲気が面白かった額。

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インレイ20
この額は3種類あるんだけど、その中から赤格子という種類。
イタリア製の細めのタイプで、通常このぐらいの太さの額だとささやかに作品の周りを囲っていますという印象のものが多いけれど、この額は真ん中にはいっているカラフルなモザイク模様のおかげでかなり自己主張がある。
つまり中に入れる作品も、強いものでないと主役を食ってしまうかもしれないという危険な額(←ちょっといい過ぎ)。
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ただその分作品とマッチした時は、周りと一線を画する存在感を出したりする。

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↑これはお客さんからお預かりした切りえをインレイ20に額装したもの。
この作品に張られている柄物の和紙を見た途端この額を使おうと考えた。
マットは作品に使われている色に合わせて黒で少し柄が入ったものを使用し、赤い筋を入れた。

P2030054


赤と黒の強烈なコントラストのなかで、この見え幅額20mmという細い額が飲まれるどころかしっかり自己主張しているのを見てもらえると思う。


前述の通り、この額はかなり合わせるのが難しいと思うけど、赤や黄色をベースにした刺繍や、コントラストがはっきりしている、もしくは色数が多い作品等には面白い効果があるかもしれない。

値段はインチサイズ(254mm×203mm)で3880円。

チャレンジャーを求めます。



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