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2006年4月 3日 (月)

作品と額縁の関係

P4010012_2 日本国内だけでもどのぐらいの種類の額縁があるのだろうか。
うちで取り扱いしているものだけでも半端じゃない数になるし、それ以外にも探せばまだまだある。
おそらく数千種類。
ひょっとすると数万種類の額縁が自分に合う作品を待っているだろうし、それ以上の数の作品たちが自分に合う額を探している。

フレーマーという仕事は作品と額とをつなぐ、仲人のようなものなのかもしれないが、だけど、なかにはその仲人の目の前で勝手に運命の出会いをはたしているものもある。

そんなことがあった額。

P4010010  レグノ50 古代

イタリア製のレディメイドフレーム。
表面の模様は職人さんたちが一枚一枚手作業で木地を貼っていったもので結構手間がかかっている。
色は他に、木地・マホガニー・アイボリーの3種類があり、この古代だけが色の名前かどうか怪しい。
ご覧のように重厚感のある額でその分存在感もかなりあるけど前に出すぎるということはなく、静かにフォーマルに作品の周りを引き締めてくれる。
インテリア品という事を考えると周りに置いてある他のものとの相性が重要だけど、どうも絵ではなく本物の花との相性もいいようで、この額とスエードのマットを使ってウェルカムボードを作った時のあまりのはまり具合と、考えていた以上の上品さに驚いた。
P4010014
幅は50mmとすこし広いくらい。
しかし実際に見るとそれ以上に幅広く感じるのはたぶん表面の模様の影響。
中に入れる作品は水彩画で淡い色調のものではちょっときついかなという気がするけど、色がしっかり出ているものであれば大丈夫。ダークトーンの色調のものや色数が多くない風景画などにはものすごく合う可能性がある。
この額は油縁もレディメイドで用意されているので、お手持ちの作品に試してみる価値は充分にある。

値段は製作に手間がかかることもあってインチサイズ(254mm×203mm)で7350円。
同じデザインで油縁のレグノ51はサムホールで10290円。

P4010009 この額には以前からかなり興味があって使ってみたいとは思っていたが、何故だかなかなか機会を持てないでいた。そして初めて実品を目にしてあれやこれや額装方法などを考えていたその日、たまたま来られたお客さんからお土産で一枚の絵を頂いた。

それが山口県立美術館所蔵の香月泰男作の「朝陽」の絵葉書だった。

香月泰男はシベリア抑留時代の地獄のような経験をもとに衝撃的な「シベリアシリーズ」を描いて第1回日本芸術大賞を受賞した作家。
この作品は香月泰男がシベリアシリーズの中でも抑留されていたときに見た朝陽を描いたもので、うちの母のお気に入りの絵だという事をお客さんが知っていて持ってきてくれたものだった。
そしてレグノ50と並べてテーブルの上に置いた時のあまりの調和。
額を選ぶ時に考えなければいけない、飾る場所の雰囲気や周りにあるもの色などといった要素を全て吹っ飛ばしたはまり具合にすぐさま額装することにした。
P4010011 額装方法はここまで作品と額の調和が取れているのでシンプルにシングルマット。
作品のイメージからマットの色は黒以外ないだろうと、数種類の、色合いやテクスチャが少しずつ違う黒マットを合わせてみたけどどこか合わない。
全面フラットな黒色が乗っているものだとどうしてもマットが強くなりすぎてしまう。とはいえグレーっぽくすると作品の雰囲気自体を壊してしまうので、いろいろ試行錯誤した結果、作品の周りに少し入っている金色っぽい色とレグノ50の下地になっている木地の色との双方に似たカレハ色のマットに墨で色むらを付けつつ塗ってみた。

この額装品はその後自分で同じ絵葉書を買ってきて何度も作ったが、その都度売れてしまい、今回改めて作り直した。

額縁は作品を引き立てる為の脇役だというのが一般的な認識だと思う。
実際に自分自身でもこの仕事で額に興味を持って良く見ていなければ考えもしなかったと思うけど、額は額で頭を悩ませてデザインをする人がいて一つ一つ手作業で基本の型を作る職人さんがいる。
額を一つの作品としてみる事も出来るんじゃないかと、この香月泰男の「朝陽」の絵葉書とレグノ50の出会いは感じさせてくれた。

主従するのか、補うのか、対等か、お手持ちの作品に出会う為に待っている額縁が世界のどこかに、たぶんあります。



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