記憶の中のぬくもり
額縁にも年に2回、春と秋に新商品発表会がある。
今年も3月8・9日に東京のサンシャインで画材を扱うメーカーが集まる「JAWA-SHOW」が行われた。
ファッション等とは違って、額縁には特別に春物とか秋物とかがあるわけではないけど、メーカーによっては色合いにそういった季節感があるものを選んでいると感じるところもある。
今回は新商品の中から春っぽい色調のものを紹介。
C-34104
イタリア製の額で、種類はカスタムメイドフレーム。
お客さんのご希望通りのサイズで作るタイプになる。
白地の上に赤がかすれたように乗っていて合わせた印象としてはピンクのような感じになっている。
実はこの赤というのは、以外かもしれないが額縁に使う色としては結構珍しい。
もちろんないわけではないけど、種類が豊富なものでもない。
おそらく赤というのはかなりきつい色なので、中に入る作品と合わせ難いということなのだと思う。
その点この額は白と赤を合わせる事で見た目の印象を柔らかくしていて、きつさがあるどころか逆に何か馴染み深い感じを受ける。
今回の作例は残念ながらうちで額装したものじゃない。
これは某メーカーから出ているアートプールシリーズという、ポスターをいろいろな額装テクニックを使って普通とはちょっと違うインテリアに仕上げたおもしろ額装品で、今回の「JAWA-SHOW」で買い付けてきたもの。
この作品だけではなくいろいろ出ているのでまたそのうち紹介しようと思う。
そういうことで中に入っているのはポスター。
なかなか暖かみのある優しい感じの絵でこの額のイメージと良く似ている。
タイトルは「Sunny Day」。手元の資料によると、作者はロビン・ローリングズ(Robbin Rawlings)というアメリカのデザイナーで世界的な評価が高く様々な賞を受けているとのこと。
知らなかったので早速Googleに聞いてみると、まったく出てこない。
そこでアメリカのYahoo!で検索したところ、ご本人のデザイン事務所のホームページを発見。
あまり数が載っていないけど、どの作品も、単色で見ると重たい色を組み合わせて柔らかく表現するという、なかなか独特の色彩感覚をしていると感じる。
さてこの額装、作品がポスターであるということを最大限に利用している。
なんと作品をくり貫いて外周部分をマットとして使っている。
そして下に重なる作品の太陽の部分にピンク色のマットをつけてアクセントを作り、上のマットとして使われている部分との間にフォームボードという厚みをつける素材をはさんで段差を作って立体感を出している。
作品をコピーしてマットに使うというのはやった事があるけど、人の作品にカッターの刃を入れるというのはさすがに出来ない。ただポスターだったら結構なことまで出来るなとちょっと悪巧みが思いついたりした。
ただ、額装方法はお任せという依頼をお受けした時いつも感じているのがこの額装という仕事はどこまで手を加えていいのかという見極めが結構難しい。
この額は見え幅が35mmで、太さとしては普通だけど、前述のように印象の柔らかい額なので、サイズが結構大きいものにはあまり向いていない思う。
飾る場所は選ばないタイプ。
玄関でもリビングでも自室でも寝室でもおそらくどんな部屋でも合う。あえて言えばリビングのワンポイントというのがおしゃれかもしれない。
同じデザインのもので色違いがあと3種類。
ブルー・イエロー・グリーンがある。
値段はインチサイズ(254mm×203mm)で、9870円也。
ちなみに作例に使った額装品は小売価格14000円です。
昔の記憶に触れているような、ちょっと懐かしいぬくもりを感じさせてくれる額です。
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