力感を生かす土っぽさ
6月に突入。
先月は、「悪い事は重なっておきる」を実体験して、正直言ってブログを書く所ではなかった。
未だに尾を引いているけど、今月は何かいいことあるといいなと願うばかり。
さて久々に額の紹介。
毎年この時期には、うちを懇意にしてくださっている山田浩二さんという作家さんの展示会がある。
もう10年位額装をさせてもらっているが、基本的にはシンプルなものがお好みなので、額は見本の中から話し合いながらご自分で決められるし、マットも少しエンボスしてある2mmのホワイトマットを作品と合わないことがない限り使っている。
ただ、数ある作品の中には何点か、シンプルな組み合わせでは額が負けるなぁと感じるものがある。そういうときには額装のアイディアを話し合いながら、少し手を加えたものを作らせて貰っている。
今回の作品は、「風神」と書かれた書。
渋紙(たぶん?)に少し崩れた力強い書体で書かれていて、線の擦れや墨の飛沫の飛び具合などに「風神」らしく、風を感じる気がする。
文字の具合や紙の色など作品の持つ雰囲気がホワイトのマットにはどうしても合う気がしなくて山田さんにそう伝えると、ご本人もそう考えていらしたらしくこれはデザインマットでいこうという事になった。
そこで問題になるのが額縁。
デザインマットにするからには作品とトータルした額の内側の存在感が強くなる。
ただでさえ力強い印象の作品に負けないものということで、山田さんと規格縁やカスタムメイドのサンプルを引っ張り出しては合わせて、「こうじゃない」とか「もう少し暗く」とかやっていた。
で、思い浮かんだ一つの額。
レグノ39 古代
金色の下地の上に濃い茶色の、樹皮のような土のような、そういったものがデザインされていて、幅40mmというわりにはものすごく重量感のある印象を受ける。
他にマホガニーと木地の、合計3タイプがあって、順に茶色が薄くなっていくけど癖が強いのは変わらず、かなり中に入る作品を選ぶタイプの額ではある。
ただ今回に関して言えば、作品の力感は言わずもがなだけど、雰囲気の中にある素朴感というか、町の中にふいている風じゃなくて、懐かしい田舎にふいている風という印象を受けていたので、この額の土っぽさが合うのではないかと思った。
そこで山田さんにお見せすると、ご本人的にも感じるものがあったご様子で、古代とマホガニーのどちらにするか迷われたけど、結局、古代を使うことで意見の一致をみた。
次はマッティング方法を決めるのだけど、これがまた問題で、既製のカラーマットやファブリックマットを思いつく限り組み合わせてやってみたけど全然合わない。
何というか、均一の色とかテクスチャーといったものと、とことん相性が合わないようで、こうなったらテクスチャーをマットに張り込むしかないという事になった。
で、何かないかと探したけどこれまた見つからない。
結構途方にくれた時になって、山田さんが「作品の書き損じがあるけど、それが何とか使えないか」と気がついた。
面白いかもと思って後日持ってきていただくと、少しづつ紙の色が違う3枚がきた。
試してみるとこれが良く合う。
ただ、全体を覆うには一枚一枚が結構小さいので、継ぎを当てるような感じで3枚を組み合わせて、ついでに少しふわっとした感じを出すように和紙糊を全体ではなく部分的につけてマットに張り込んだ。
出来上がったマットを作品と額にあわせてみると、さすがにピッタリ
はまってはいるのだけど、イメージが連続しているのでメリハリがなくなってしまったため、マットに、擦れ金で墨の飛んだような黒いまだら模様の入ったフィレーをつけて、更に少しだけ黒が見えるようにダブルマットにした。
出来上がりは写真の通りだけど、本物は小全紙の大きさ(660mm×510mm)と、ちょっと大きい事もあって結構迫力のある作品になった。
レグノ39はかなり個性的な額にも関わらず実は規格縁。
入れる物も飾る場所も結構選ぶ額だと思うけど、出来上がりはご覧の通り、かなり力強いものになるか、もしくは以前の例ではものすごく素朴なものになる。
値段は今回使った小全紙サイズ(660mm×510mm)で12600円。インチサイズ(254mm×203mm)で5250円。
山田浩二展は6月2日から4日まで、静岡県沼津市大塚299の長興寺でおこなわれています。
書だけではなく、こんな優しい絵を描く作家さんですので、興味がある方は見に行ってはいかがでしょうか。
入場料は無料。
今回の作例「風神」の書は茶室に飾ってあるそうなので、是非本物を見てみてください。
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