思い出に挟む栞
ここのところ1000mmを超えるような大型の額の注文をいくつも頂いて、広くはない店の中がすごい事になっている。
当然、額装する作品もそれ相応に大きいわけで、一つのことをやるのに作業台を占拠してしまい、同時進行がなかなか難しい。
作業台がもうひとつほしいと思う今日この頃。
ふさがっていた入り口を通り抜けて、お客さんがみえた。
額装して欲しいとのことで取り出されたのが2枚の栞。
両方共、貝殻を使って蝶や花の形を作り、貼り付けている。
かわいらしくはあるが、栞としてはちょっと使えない。
どういうものなのかお客さんに尋ねると、亡くなった身内の方が最後に遺してくれた作品で、せっかくだからちゃんと飾りたいということだった。
貝殻にそこそこ厚みがあるため、普通の額に細工をするか、厚みのある額を使うか迷ったが、300mm×150mmで額の内側の厚みが19mmという丁度いい大きさの規格額があったので使うことにした。
作品は四隅をナイロンの釣り糸に引っ掛けるようにして固定してある。
この方法なら接着剤やテープを使わずにしっかり留められるし、作品自体には何も手を入れないので、糸をはずせば元通りになる。
考えなければいけなかったのはマット。
写真を見ていただければ確認していただけるが、作品とアクリルがぶつからないようにしている。こういう額装の仕方の時はどうしても作品とマットとの間に結構大きなスペースが出来る事になる。
こういう場合に通常の切断面が白いマットを使うと何となく安っぽい感じがして個人的には好きじゃない。
だから普段ならフィレーやベベルアクセントを使って縁取りを作るのだけど、今回は切り口に色の付いたカラーコアのマットを使ってみた。
ダブルマットで上は作品の色と合わせてエンジ色でブラックコア、下はクリーム色で茶色のコアになっている。
今回はそんなに複雑な事をやらずにシンプルな印象で仕上げてみた。
これで合計3000円ぐらい。
おそらく作品のコストよりもだいぶかかっていると思うけど、わざわざうちに額装を頼みに来られるのだから、他の人からは感じる事が出来ない価値をそんなところに垣間見る事が出来る気がする。
貝殻一つ一つが価値を持つ。
そういう品々と出会える楽しみがこの仕事にはある。
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コメント
ちょっと、覗かさせていただきました。下手な絵を描いていて、額縁にも、ちょっと、興味を持っています。最初は、シルバーとか、ゴールドのごく一般的な額に入れていましたが、合う、合わない、ということが、あるのですね。
貝殻の、額装は、見事ですね。
投稿: goya77e | 2006年7月25日 (火) 06時25分