作品と額とインテリア
1日に年賀状をアップしましたが改めて。
明けましておめでとうございます。
昨年は年末ぐらいから気になることが多く重なったので、今年は年頭から良いことがあるように祈りつつ張り切っていきたいと思います。
さて、昨年末にお客さんが展示会に出展される関係で、そのお手伝いに上野に行ってきました。
作業自体は1時間ほどで終了したため、個人的趣味で国立科学博物館でやっているロボット博を見物した後、上野公園の中を散策していたところ国立西洋美術館でムンク展をやっているのを見つけて衝動的に入ってしまいました。
正直に言ってムンクの作品はそれほど好みというわけではないですし、この展示会の一つのテーマらしい「装飾画家」としての作品には自分としては今ひとつだったのですが、「叫び」「不安」「絶望」の同じ構成で描かれた三枚が並んで飾ってあったのを見て、初めてよく説明書きなどに書かれているムンクの心境が自分の中でしっくりきた様な気がしました。
そんな中、妙に気になって見直すため館内を戻ってしまった作品がありました。
「メタボリズム」とタイトルがついた絵で木を間にはさんでアダムとイヴ(エヴァ)が描かれた作品ですが、気になったのはその絵の入った額で、作品にあわせて木の下にはドクロ、上には街が彫られていました。
これは人を養分に街ができているという意味であるらしく、ムンクの生死感(多分皮肉も?)を表したものでしょう。
額装の仕事をしていると毎回必ずぶつかる壁があります。
作品のみをはっきり見せるためにすっきりシンプルにするか、作品のデザインと飾る場所に合わせたものにするか(派手にするというわけではありません)。
あるお客さんは、細い額でホワイトマットを望まれますし、またほかのお客さんはフィレ付きカラーマットにデコレーションの入った額を望まれます。
多分この問題には正解がありません。
ですから僕は、どちらの方向性で額装するにせよ、作品の意図にできるだけ沿うことを心がけているつもりです。
そこでこのムンクの「メタボリズム」は、作品の意図に沿うという意味ではムンク自身が意図通りに作った額に入れたもので、額まで作品の一部という、これ以上はないつくりでした。
ですが、かといってさすがにそのつくりで一般のご家庭に飾るのはなかなか難しい。
フレーマーという仕事の立ち位置はその辺にあるのだろうかと、自分の仕事のアイデンティティを確認していました。
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