クリムトの「接吻」
早いものでもう年末。
町の方からは盛んにクリマスソングが聞こえてきてます。
クリスマスと聞くと連想するものは人それぞれあるでしょうが、私が毎年この時期決まって連想してしまうのは19世紀後半のオーストリアの画家グスタフ・クリムトの色彩です。
有名な作品がいくつもありますし、ご存知な方も多いかと思いますがクリムトいえば官能的でどこか退廃的な画風で、その作品の鮮やかな色彩にも関わらずなぜか作品からは微かな不安感が滲み出る…一般的なクリスマスからは離れたイメージの作家です。
もちろん私もクリスマスからクリムトのすべての作品を連想してるわけではありません。
連想してるのはクリムトの「黄金の時代」と言われる一連の作品群です。
クリムトがこの時期描いた作品は金箔や銀箔を多用し一際絢爛な印象を放っています。
一説には日本の琳派の影響を受けたとも言われていますが、たしかに金箔による陰影を生かした技法は尾形光琳の屏風絵などを彷彿とさせるものがあります。
当店でもいくつかクリムトのポスターなどの印刷物を取り扱っていまして店頭にも展示してあります。
そんな中、前々から気になっていた事を今年のクリスマスに向けてやってみようかと思いました。
と言ってもそんな大げさな事ではなく、在庫にあるクリムトの作品のマット紙を新しくしたいと言うことです。
有名なクリムト黄金の時代の作品の一つ『接吻』です。
作品のモデルになっているのはクリムト自身と恋人のエミーリエ・フレーゲと言われていまして、黄金の時代の例に洩れずこの作品にも金箔が多用されています。
写真のこのリトグラフは"額装品"として仕入れしたものでして額縁とマット紙がすでに付いていました。
ですがどうにもこのホワイトマットと作品内容が合わないような気がしていましたので作品が引き立つように額縁はそのままでマット紙だけ変えてみました。
使用したマット紙は三枚。
一番下にはブラックのマットで切断面にイエローが出るカラーコアマットで作品の色合いに合わせた縁取り。
真ん中には金箔のような色合いで少し模様が入ったもの。
トリプルマットとして重ねる上地には作品中の金を引き立たせるようにブラックのもので光沢感があり若干レザー模様が入っています。
切断面の白い色を出さないように真ん中の金地のマットと一番上のブラックマットは逆ベベルカットにしてあります。
実は今回マット紙を交換した『接吻』の印刷はちょっと特殊な手法を使って作られていて、クリムト作品の金箔・銀箔のような光沢感が作品の一部に入っていますのでそれに合わせてマット紙も光沢感のあるものを選んでみました。
額縁が同じでもマット紙次第で作品の印象がかなり変わったのではないでしょうか。
個人的には変更前のホワイトマットのものよりこちらの方が作品のイメージに近いのではと思います。
クリスマスを連想させる額装になったと思いますか?
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