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2018年5月

2018年5月19日 (土)

クートラスのポストカードの額装

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 以前、各地の展覧会で話題になっていたロベール・クートラスの『僕のご先祖さま』のポストカードが額装しました。  ポストカードをすっぽりと入れるサイズの額縁もあるのですが、今回はインチサイズの額縁にマット紙を使って額装することにしました。
 使用する額縁はメーカーさんが一点物で作ったもので、今回の作品の雰囲気に合ったものが合ったのでそれを選択。

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 その額縁と作品に合わせてマットの色合いを考えました。
 今回の『僕のご先祖さま』では全体のブラウン調の色のイメージを感じたため額装の色にもブラウン系を使い統一することにしました。

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 作品の雰囲気に沿うようにマットの窓穴は切断面の白が出ないよう逆ベベルカットで切りました。それを実際に額縁に入れてみると事前にイメージしていたものに近いながらも作品寸法の小ささもあって若干の物足りなさを感じる額装に。

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 そこで少し立体感をつけて、見る人の目を作品に寄せるように、同じブラウンのスエードマットに飾り装飾であるウッドフィレを付けて重ね、ダブルマットにしました。

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 ウッドフィレも作品の雰囲気に合わせたアンティークなデザインのものです。
 これによってマットの余白にあった物足りなさが消え、より作品が見えやすくなったのではないかと思います。

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 このクートラスのポストカードの額装では、単純に”額装例”ということで作品の色合いや雰囲気を重視したものにしましたが、額装は飾る場所や用途によってその素材の選択は変わってくるものです。
 たとえば展示会用の額装と、ご自宅に飾るインテリア用の額装とではその作りが変わることがよくあります。
 飾る場所との相性を考えて、自分の好みを考えて、作品とのバランスを考えて。
 額装は、自分なりの正解を探しながら作っていくものと思います。

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2018年5月 7日 (月)

ベベルカットとウッドフィレ

 当店では様々な種類の作品の額装をさせて頂いてます。
 よくお預かりするものでは水彩画・油絵・七宝焼き・刺繍・デッサン画・パステル画などですね。

 油絵の額装では、そのキャンバスの木枠に合わせた大きさの額縁にすっぽりと収める形となりますが、水彩画やパステル画などの厚さの薄い用紙などに描かれた作品には、表面に作品を見せるための窓穴を開けたマット紙を重ねて額縁に入れるのが一般的な作りとなります。
 通常の窓穴のカットでは45度程度の傾きを付けたカットでマットの中芯の色が窓穴周辺を囲うような形となります。これはライトによって窓穴の影が作品にかかるのを避けるためで『ベベルカット』と言われています。

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 またこの『ベベルカット』とは違う手法として『フィレ』という飾り装飾をマットの窓穴に取り付けるという方法もあります。

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 この方法ですと作品の周りにもう一回り細い額縁が入る感じになるので作品の重厚感がグッと増します。

 マット紙は作品の保存性を高めるために入れる額装素材です。
 とは言え、それだけではなく作品と額縁の雰囲気を繋ぐためのものでもあります。
 以前は「マット」と言えばホワイトやブラックのものがほとんどでしたが、現在マット紙の色の種類はかなり多くの数が出ています。また、フィレもウッド素材のものやプラスチック素材のものなどいろいろと出ています。ですから、作品と額縁の色に合わせた組み合わせを色々と試してみるのも作品の魅力を引き出す一つの方法ではないでしょうか。

 一言に「額装」と言ってもその手法は様々あり、よりその作品の魅力を引き出す方法を模索するのが額縁屋における額装の仕事だと考えています。マット紙は「額装」において重要な部分であり、どのマット紙をどのように組み合わせて使うかという選択に時には額縁を選ぶよりも時間を使うことがあります。

  好みに多く左右される要素なので正解はないのかもしれませんが、自分ならではの自分の額装を作るのはかなり楽しい事と思います。

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