新年明けましておめでとうございます!
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以前、各地の展覧会で話題になっていたロベール・クートラスの『僕のご先祖さま』のポストカードが額装しました。
ポストカードをすっぽりと入れるサイズの額縁もあるのですが、今回はインチサイズの額縁にマット紙を使って額装することにしました。
使用する額縁はメーカーさんが一点物で作ったもので、今回の作品の雰囲気に合ったものが合ったのでそれを選択。
その額縁と作品に合わせてマットの色合いを考えました。
今回の『僕のご先祖さま』では全体のブラウン調の色のイメージを感じたため額装の色にもブラウン系を使い統一することにしました。
作品の雰囲気に沿うようにマットの窓穴は切断面の白が出ないよう逆ベベルカットで切りました。それを実際に額縁に入れてみると事前にイメージしていたものに近いながらも作品寸法の小ささもあって若干の物足りなさを感じる額装に。
そこで少し立体感をつけて、見る人の目を作品に寄せるように、同じブラウンのスエードマットに飾り装飾であるウッドフィレを付けて重ね、ダブルマットにしました。
ウッドフィレも作品の雰囲気に合わせたアンティークなデザインのものです。
これによってマットの余白にあった物足りなさが消え、より作品が見えやすくなったのではないかと思います。
このクートラスのポストカードの額装では、単純に”額装例”ということで作品の色合いや雰囲気を重視したものにしましたが、額装は飾る場所や用途によってその素材の選択は変わってくるものです。
たとえば展示会用の額装と、ご自宅に飾るインテリア用の額装とではその作りが変わることがよくあります。
飾る場所との相性を考えて、自分の好みを考えて、作品とのバランスを考えて。
額装は、自分なりの正解を探しながら作っていくものと思います。
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当店では様々な種類の作品の額装をさせて頂いてます。
よくお預かりするものでは水彩画・油絵・七宝焼き・刺繍・デッサン画・パステル画などですね。
油絵の額装では、そのキャンバスの木枠に合わせた大きさの額縁にすっぽりと収める形となりますが、水彩画やパステル画などの厚さの薄い用紙などに描かれた作品には、表面に作品を見せるための窓穴を開けたマット紙を重ねて額縁に入れるのが一般的な作りとなります。
通常の窓穴のカットでは45度程度の傾きを付けたカットでマットの中芯の色が窓穴周辺を囲うような形となります。これはライトによって窓穴の影が作品にかかるのを避けるためで『ベベルカット』と言われています。
またこの『ベベルカット』とは違う手法として『フィレ』という飾り装飾をマットの窓穴に取り付けるという方法もあります。
この方法ですと作品の周りにもう一回り細い額縁が入る感じになるので作品の重厚感がグッと増します。
マット紙は作品の保存性を高めるために入れる額装素材です。
とは言え、それだけではなく作品と額縁の雰囲気を繋ぐためのものでもあります。
以前は「マット」と言えばホワイトやブラックのものがほとんどでしたが、現在マット紙の色の種類はかなり多くの数が出ています。また、フィレもウッド素材のものやプラスチック素材のものなどいろいろと出ています。ですから、作品と額縁の色に合わせた組み合わせを色々と試してみるのも作品の魅力を引き出す一つの方法ではないでしょうか。
一言に「額装」と言ってもその手法は様々あり、よりその作品の魅力を引き出す方法を模索するのが額縁屋における額装の仕事だと考えています。マット紙は「額装」において重要な部分であり、どのマット紙をどのように組み合わせて使うかという選択に時には額縁を選ぶよりも時間を使うことがあります。
好みに多く左右される要素なので正解はないのかもしれませんが、自分ならではの自分の額装を作るのはかなり楽しい事と思います。
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9月に入りました。
ここのところ夜はわりと過ごしやすい気温になり、外からは秋の虫の声が聞こえてきています。
ここからは「芸術の秋」らしく展示会などが増えてくる時期になってきます。
作品を創作中な方もいらっしゃるのではないでしょうか。
すでに何度か展示会用に額装したことがあるという作家さんはご承知かもしれませんが、水彩画などの厚さの薄い紙に描いた作品を額装する時に使用するマット紙には『被り幅』が必要だということを初めて額装される方はご存じないかもしれません。
額縁に入れる時、作品の上に窓穴を抜いたマット紙を重ねて額装することが通常です。
その時に開ける窓穴の寸法は作品が抜けたりしないように作品の紙の寸法よりは小さくなります。
ですから作品の見せたいところを紙の寸法いっぱいに描いてあるとか、サインを紙の縁ギリギリに書いてある場合などにマット紙を被せる余白がなく、困る場合が時々あります。
なんとかする方法は幾つかあるので額装できないわけではないのですが、作家さんの意図通りの額装を考えるとできれば予め作品の端にマットの被せ用の遊びが欲しいところです。
作品によってはわざと作品周りに余白を作って額装したいという場合もあるかもしれません。
そういう場合は言って頂ければそのように額装いたします。
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布が好きです。
一度も着ていないしつけの付いたままの自前の着物から、骨董市で衝動買いした、何に使ったら良いか判らないボロ布まで沢山あります。
額装に使おうと思って引っ張り出すと、いつの間にか部屋中 布だらけになります。
思い入れのある布は、細切れになっても捨てられない。
継ぎ接ぎしながらマットに貼っていくと、素敵な逸品になります。
竹久夢二の版画や、書の額装にピッタリ合います。
ジュサブローさんの花うさぎや南総里見八犬伝の人形衣裳には、特に惹かれます。
松本昌子さんのアフリカ系の人形衣裳も素敵ですね。
重ねる事で色味が深くなって行く。
日々 マットの色合わせをして行く作業の中で 、大いに役立ちます。
私のモチベーションの原点かもしれません。
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例年よりかなり盛り上がっていたぬまづ夏祭りも7月と共に終わりました。
街中から夏休みを満喫している子どもたちの声も聞こえてきて、いよいよ夏も本番ですね。
赤や黄を暖色系、青を寒色系という言葉の通り、色には視覚から温度を感じさせる効果があるとされています。
額装の際に使用するマットの色を選ぶ時も、実はそういったことをすこし気にしたりします。
展示会用の額装ですと作品をよく見せるのが最重要なので色合いに関してシンプルに白がベースですが、ご自宅に飾る場合は日常的に見ることになるわけですし、見た目の気持ち良さを考慮し季節によってマットの色や模様の組み合わせを調整します。
作品意図との兼ね合いによりますが、暑い時期に暖色系のマットを使うとより温度が上がった感じがしますし、作品の色合いがブルー系だった場合に寒色系のマットを使うと額装品全体の温度が下がった印象になります。
色と色は相互に干渉して見た目の印象を変えてきます。
また同じように見た目の温度も変えてきてると感じます。
暑い時期には部屋にある額装品を寒色系の色合いものに変えてみると精神的な温度を下げることができるかもしれませんね。
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写真や絵画を見るのが好きです。
額縁屋という職業柄、仕事で美術館に伺うことが多くありますし、気になる美術展にはよく行きます。
当然、作品を見に行くのですが職業病というか癖というか最初に目が行くのは作品に付いている額縁の方になってしまいます。
どういうデザインの額なのか。
作品の年代より新しいものか、古いものか。
マットの色合いはどうか。
等など。
自分で額装するならどうするかとか考えながら額縁を見てから作品を楽しむ。
どうやら聞くところによると同業者の中でも少なからず同じ様な見方をしている人たちがいる様で、会合の際には「美術館あるある話」が膨らんだりしてます。
額縁の歴史は、もともと教会の壁面や天井を彩っていた宗教画を、分祀や布教用に持ち運びできるよう、板や画布に描いたもの(タブロー形式絵画)を飾るために作られたのが始まりと言われています。
ですから古い宗教画の作品に付いている古い額縁もまたその作品の背景を語るための一つの要素となっているかもしれないわけです。
この夏休みの時期、美術館を訪れる機会も多くあるのではないかと思います。
後年になってから額装された作品もありますので、額縁がその作品の時代のものと同じ時期のものかどうかは分かりませんが、作品のみではなくその周りを修飾する額縁もまた見てみるといつもとは違う楽しみ見つかるかもしれませんね。
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蝉の声が聞こえ始めてきました。
近くの木から聞こえてきていたので写真でも撮ろうかと思ったんですが、声は聞こえど姿が見えず。今のところレンズに捉えることができてません。結構高いところにいるんですよね。
例年、今ぐらいの時期から秋の個展や展示会用の額縁・額装のご依頼を頂くことが増えてきますが、今年はそれにも増して、初めて当店のような「額縁専門店」を利用するという方達が来られている印象があります。
額縁屋に来たけど勝手がわからないというお声も聞きますし、ちょっとした豆知識として必要とまでは言えないけど、ここをおさえておけばスムーズに額縁屋で額縁選びができるというポイントを額縁屋の視点からお答えします。
・額装する作品の種類と寸法
まず、額装する時に必要になる情報は作品の種類です。
水彩画やリトグラフのような薄いシート状のものなのか、油絵のような木枠にキャンバスを張ってあるのか、その作品の厚さや形状によって使用する額縁の種類が変わってきます。
また、シート状の作品の場合はマット紙を作品の上に重ねて額装することが多いため、マットに開ける窓穴の寸法を測る必要があります。
そのためご来店の前に作品本紙の外側寸法と作品の見せたい部分の寸法を事前に測ってきて頂くか、作品自体を持参して頂く必要があります。
・額縁を飾る予定の場所のインテリア
額縁は室内のデコレーションをする家具です。
ですから額縁を選ぶ際に、飾る場所の雰囲気を念頭に置くと選択し易くなります。
額縁屋に相談する時は飾る場所の写真などを提示して頂けると店側としてもより具体的な額装の提案ができると思います。
・どういう雰囲気の額装品にしたいのかイメージする
これはおそらくご自分の好みという話になるかと思います。
額装品を部屋に飾る時の「お約束」的なものもあることはあるのですが、結局は毎日見続けて気持ちいい額装品にすることが大切だと考えます。ですので、「明るく」とか「重厚に」といった抽象的なものでもいいので、どういったイメージがお好きなのかを聞かせて頂けるとお薦めの額縁や見栄えする額装方法をご提案することができます。
・額装するものへの思い入れをお聞かせ下さい
欧米では多く作られているのですが、思い出の品を額装する場合、単純にその品だけを額装するだけでなくその品に関係するものも一緒に額の中に入れることによって、よりオンリーワンな額装品になります。
例えば旅先で手に入れた品と、その旅行での写真を一緒に入れて額装するのもいいでしょうし、例えば使わなくなってしまっておいたアクセサリーを、同じく使わなくなったスカーフ等と一緒に額装すれば思い出の詰まったあなただけの額装品が出来上がります。
どういったものが使えるかはお話をしていく上で提案できるかと思いますので差し障りのない範囲でお聞かせ頂ければと思います。
これらのポイントは知っておくとスムーズにお話ができますが、作品の種類と正確な寸法以外のことは、必ず準備しなければならないというものではありません。
額装についての打ち合わせの際にもお話させて頂くことです。
ですから、ここに上げたポイントを知っておくとお得ぐらいに思ってお気軽に額縁屋をご利用頂ければと思います。
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今年もやって来ましたGWです。
今年も多くの方が大型連休中の海外旅行を計画されているのではないでしょうか。
アートの理解が深い文化的な町では街頭で作家さんが自分の作品を展示して売っているを見かけます。
好みの作品との遭遇は運命的なものもありますのでたまたま見かけた作家さんの作品でも通りすがりにビビッとくる事もあるでしょう。
そういった作品との出会いも素敵な旅行の思い出の1ページになります。
ですが、その作品が水彩画やリトグラフのような薄いシート状のものならデッサン縁を使用して通常通りに額装出来ますので良いのですが、木枠に張り込んだキャンバスに描かれてる場合、日本に帰ってから額縁に入れて飾るのにひとつハードルが発生する事があります。
それは、日本と海外で規格サイズにズレがあるということです。
木枠に張られたキャンバスに描かれた作品…多くは油絵になるのと思いますが、現在世界には大きく言って4種類の木枠の『規格サイズ』が存在します。
日本サイズ、フランスサイズ、国際キャンバスサイズ、アメリカサイズです。
よく作品の大きさを表すのに『◯号』とか『F◯』、『P◯』、『M◯』と言うのをお聞きになったことはないでしょうか?
先に上げた4種類の規格サイズの内、アメリカサイズだけは基本の単位がインチ(inch)ベースになることもありこういった『F◯』のような規格ではありません。
ですが、日本サイズ、フランスサイズ、国際キャンバスサイズの3種類は同じcm(センチメートル)基準で『F・P・M』サイズ表記ではあるのですが実はその寸法に多少のズレがあります。
よく使われる木枠サイズの比較リストです。
このズレによって海外で買ってきた作品を日本で買った額縁に額装しようとした場合にうまく入らないということが起こります。その場合特別寸法で額縁を組む事になります。
とは言え気に入った作品との出会いは是非大切にして欲しいという思いもあります。
通常の手法以外の額装方法もありますのでどうしても気に入った作品が木枠に張り込みだった場合は額縁屋にご相談下さい。
出来る限りご要望に沿ったアイディアを提案させて頂きます。
良い旅行を!
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